公正証書遺言とは
公正証書遺言は遺言者から公証人が遺言の内容を聞き取り、公証人が書面を作成する方式です。原本は公証人役場で原則20年(通常は本人の死亡まで)保管されますので遺言書の所在が不明になる事もありません。
公証役場に保管された公正証書遺言は遺言検索システムに登録されますので遺言者の死亡後、相続人は遺言の存在や作成した公証役場を容易に確認する事ができます。
公正証書遺言書の作成手順
1.遺言の原案を作る
相続財産のリストを作成し、相続人の遺留分など諸般の事情を考慮しながら原案を作成します。
2.証人2人を依頼
証人は相続時のトラブルを回避する為に弁護士や行政書士など利害関係の無い第三者に依頼しましょう。また有償となりますが公証役場に証人の紹介を依頼する事もできます。
因みに推定相続人や未成年、被後見人、被保佐人、公証人の配偶者・四親等内の親族、書記及び雇人などは証人になれません。
3.公正証書遺言作成に必要な書類を用意
- 遺言者と相続人との関係が判る戸籍謄本、受遺者の戸籍謄本、遺言者の印鑑証明書
- 相続人以外に遺贈する場合はその人の住民票
- 会社等の法人に遺贈する場合法人の登記簿謄本
- 財産特定の為の不動産の登記簿謄本・固定資産評価証明書、預金通帳の写し。
- 証人予定者の住民票。
4.公証人と遺言の内容について打ち合せ
事前に遺言書の内容について公証人と打ち合わせを行います。 健康上の理由等で公証人役場まで出向けないときは、直轄の公証人に自宅や病院等に出張を依頼する事もできます。
5.公証役場で遺言書を作成
- 遺言者が口述し公証人が筆記する。
- 公証人が証書を内容を遺言者と証人に読みあげる。
- 遺言者と証人が署名捺印する。(遺言者は実印、証人は認め印可)
- 公証人が署名、捺印し公正証書遺言の完成。
- 公正証書遺言書は原本と写しである正本、謄本の3通が作成されます。原本は公証役場に保管され、正本と謄本が遺言者に渡されます。
6.公正証書遺言書作成の手数料
- 公正証書遺言書の作成の手数料は法で定められています。その手数料は相続人や受遺者が遺言者から受け取る財産額や人数によって変わります。
目的財産の価格 | 手数料 |
100万円まで | 5,000円 |
100万円超から200万円まで | 7,000円 |
200万円超〜500万円まで | 11,000円 |
500万円超〜1000万円まで | 17,000円 |
1000万円超〜3000万円まで | 23,000円 |
5000万円超〜1億円まで | 43,000円 |
1億円超〜3億円 | 43,000円に5千万円超過する毎に13,000円追加 |
3億円超〜10億円 | 95,000円に5千万超過する毎に11,000円を追加 |
10億円超〜 | 249,000円に5千万超過する毎に8,000円を追加 |
■公正証書遺言書・手数料の計算方法
- 財産の相続又は遺贈を受ける人ごとにその財産の価額を算出し,これを上記基準表に当てはめて,その価額に対応する手数料額を求め,これらの手数料額を合算して遺言書全体の手数料を算出します。
- 具体例による計算方法は相続人が3人でそれぞれ3,000万円づつ相続する場合(総額9,000万円)は23,000円X3名+11,000円で手数料は80,000円となります。
- 遺言者が病気又は高齢等のために公証役場に赴くことがでない場合,公証人が,依頼人の所に赴いて公正証書を作成する事ができますがその場合の手数料は上記の手数料が50%加算されるほか,公証人の日当や交通費がかかります。
7.公正証書遺言書の保管期間
- 公正証書遺言書の原本は公証役場に保管されます。保存期間は法令で定められており、20年です。公証役場によって異なるようではありますが、作成してから50年間とか作成者が120歳まで保管されるようです。 保管された公正証書遺言書は遺言者の名前、生年月日、証書の作成日等が検索システムに登録されます。遺言者の相続人など利害関係者のみが照会の依頼ができ、公正証書遺言書の有無や作成した公証役場などが確認する事ができます。
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